Day0 - Day6

疲れた心に必要なものは全部ある。
0日目からはじめる
沖縄7日間・7つの島をめぐる旅。

Column

by Saeri Natsuo

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東京が好きだ。人ごみも苦手ではないし、慌ただしく働くのも嫌いじゃない。好きな友人もいるし食事にも困らない。東京での暮らしは、十分すぎるほど充実している。

それでも不意に訪れるこの気持ち。

「あ、逃げたい」。

不定期に訪れるあの思いには、大人になっても慣れない。何に疲れているのか? と聞かれるとわからないのだけど。そんな日に限って東京はジトッとした灰色の空が広がっていたりする。

海が見たい。
美味しいご飯が食べたい。
ゆったりとした時間を味わいたい。

そんなとき、行き先に思いつくのはいつも「沖縄」だ。沖縄には、疲れた心に必要なものが全部あるから。

たとえば……、

Photo by Hikari

綺麗な海はもちろんあるし、

Photo by Hikari

ゆったりとした時間もある。

Photo by Hiroaki Fukuda

憂鬱を吹き飛ばしてくれる海風もあるし、

Photo by Hiroaki Fukuda

心が喜ぶご飯もある。

……やっぱり疲れた心を癒してくれるのは、沖縄だ。


だから「沖縄へ行きませんか? 7日間で7つの島を巡るプランなんですが」と連絡があったとき、細かいことを何も聞かずに「行きたいです」と即答していた。もうそろそろ、心の「逃げたい」が発動する予感があったからだ。

那覇に前入り

Day0

「Day0って、知っていますか?」

そう聞かれたけれど、当然知らない。
聞くと「前日の夕方から現地へ移動して、想定していた日数+0.5日楽しみませんか?」という提案だそうだ。そうすることによって、前日の夜も翌日の朝も沖縄で過ごすことができる。ゆとりのある旅程を組める、というのもポイントのひとつだという。

たしかに旅行当日の朝は、移動だけで消えていってしまう。着いたときにはすでに昼か、もっと悪ければ夕方。

「Day0で朝を活用しましょう! そうすれば朝のアクティビティも、夜のアクティビティも楽しめますし!」

そう言われて正直「え……」と思った気持ちは正直に記しておこう。(できれば、ゆっくり寝たい。朝からやりたいことなんてないし……)。でもこの気持ちは、7日間の旅でしっかり覆ることになる。

出発当日、仕事の打ち合わせをして、昼過ぎには仕事を無理に終えた。慌てて家に帰って急いで荷物のパッキングをする。気に入っている服と残った仕事を抱えて、羽田に向かった。バタバタと慌ただしいが、心はすでに浮き足立っていた。

羽田はいつでも人がいる。
彼らも同じように、旅行先に心躍らせているのだろうか。







そして飛行機に乗ること約2時間。

自販機には、さんぴん茶。
BGMに、三線の音。

着いた! 沖縄だ。

EMERALD OCEAN SIDE(エメラルドオーシャンサイド)

すぐにアメリカンビレッジ近くの、北谷(ちゃたん)へと向かう。
急いでいるのは、夕日をみるため。

Photo by Hikari

「EMERALD OCEAN SIDE」はその名の通り、海のすぐ側のビルにある。ハンバーガーやステーキなど、ボリュームのあるアメリカンメニューが売りのお店だ。

Photo by Hikari

「あぁ」

5階の窓を開けると、ため息が漏れた。水平線がどこまでも広がっている。遠くまで視界いっぱいに広がる海。砂浜はないので波の音は聞こえないが、潮の匂いが窓からなだれ込み、すっぽり体を包んでくれた。

すぐ下の堤防に座って海を眺める人も多い。
誰も急がず、夕日が沈むのを待つともなく待っている。

彼らと夕日をぼんやりながめていると、心の時間がゆったりと伸びていくのを感じた。凝り固まった筋肉は時折ほぐす必要があるように、自分の持つ時間もほぐす必要があるのかもしれない。

夕日を見終えたら、残してきた仕事を片付けてしまおう。そうしてこれから6日間を楽しもう。
そう決意した。

EMERALD OCEAN SIDE

沖縄県中頭郡北谷町宮城2-208 5F

記事は、めちゃくちゃ長くなりました。
どこから読んでも大丈夫です。
気になる島をクリックしてみてください!

沖縄本島 (那覇)

Day1

Photo by Hikari

朝、6時前には目が覚めた。普段だったら二度寝してしまう時間。
でも、せっかくのDay0。朝から楽しまなければ。

簡単に化粧を済ませ、眠い目をこすりながら6時には外へ出た。昼には灼熱世界と化す沖縄だけれど、朝はまだ過ごしやすい。ひとけのない町並みを眺めていると「遠くへ来た」という実感が湧いた。

まず向かうのはもちろん、美味しい朝ごはんが食べられるところだ。

泊いゆまちで朝ごはんを

Photo by Hikari

向かったのは「泊いゆまち」。
「いゆ」は沖縄弁で魚のこと、「まち」は市場のことだそう。ここには24店舗もの卸業者が入っている。

Photo by Hikari

昼前には地元の人や観光客でいっぱいになってしまうこの場所も、朝は静けさが広がっている。
真っ青な“ブダイ”や、真っ赤な“アカジミーバイ”など、見慣れない魚が並ぶ。奥ではマグロの解体を見ることもできた。

注目すべきはその安さだ。まぐろがたっぷり入ったパックでも500円と、破格なものばかり。お昼を過ぎると商品が少なくなり、完売してしまうこともあるという(そりゃそうだ……)。

4時に水揚げをして、せりもしているそう。
いずれにせよ昼前までに行くのがベストだろう。

Photo by Hikari

市場の中にある「まぐろや本舗」で、6時〜11時限定の朝丼をいただく。使われている海鮮類は、すべてこの日獲れたものという贅沢な食事だ。

注文したのは、海鮮卵かけごはん。ブランド基準を満たしたマグロと新鮮な卵、アーサ汁もついて、なんと480円。安い。

「美味しい……!!」

自家製の「塩麹ワサビ」のおかげで味わいに深さが増している。大声で感動していると、お店の人にくすりと笑われてしまった。

朝いちにもかかわらずぺろりと平らげてしまう。どんぶりが空になるころにはすっかり眠気は飛び、元気に満ち満ちていた。

朝ごはんって、すごい。

泊いゆまち

沖縄県那覇市港町1-1-18

まぐろや本舗 (泊いゆまち内)

沖縄県那覇市港町1-1-18 (開店 6:00〜閉店 16:00)

ビーチサイクリングツアーでエネルギーを発電

風がほのかに吹き抜けて、日差しはまだ弱い。
そんな朝にぴったりのアクティビティは「ビーチサイクリング」だ。

Photo by Hikari

体験したのは、ヤンバルンチャーさんの「ビーチサイクリング」。
ビーチクルーザーファットバイクに乗って町並みやビーチサイドを散策するサイクリングツアーは、昨年新しく追加されたばかりだそう。

沖縄愛にあふれたガイドさんが色々と説明してくれた。

「シーサーに、オス・メスがあるのを知っていますか?」

沖縄弁独特のイントネーションでガイドさんは続ける。

「口を開けているのがオス、閉じているのがメス。オスは不幸を追い払うために口を開け、メスは幸福を守るために口を閉じているんですよ」

これまで何度もシーサーを見てきたが、初めて知った。
この調子で、様々な植物や町並み・沖縄の人の習慣について教えてくれた。

Photo by Hikari

集落を散策した後は、ビーチサイドへ。

さすがビーチクルーザーファットバイク。浜辺も楽々漕ぐことができて感動してしまった。潮の加減によっては、波打ち際をサイクリングすることもできるそう。足元に波が広がるサイクリングなんて、不思議な気持ちになれそう。

Photo by Hikari

美味しい朝ごはんと海の匂いですっかりエネルギーチャージ。
普段は運動なんてしないくせに、「朝から思い切り体を動かしてみるのって、悪くないよね」なんて言えるようになっていたりして。

この日ガイドをしてくれたのは「やーすさん」。

とにかく沖縄が大好きなんだなと伝わってくる話ぶり。これまで見ていた景色も、ガイドさんと回れば新しい景色になる。「自分たちだけでいいよね」と言わず、ツアーの予約をしてみてはどうだろう。

オキナワ ビーチサイクリングツアー

〒905-0022 沖縄県名護市字世冨慶1084番地 株式会社沖縄どきどきツアーズ

マイハウスで大きなステーキを

Photo by Hikari

体を動かし再びお腹がすいてきたところで、宜野湾にあるステーキハウス「マイハウス」へ。

聞けば、沖縄の人は飲みの締めにステーキを食べるんだそう。飲み屋街のどこかに必ずステーキ屋があり、深夜1時であろうが2時であろうが食べるという。

「たくさん飲んで騒いだあとに、締めのステーキ!最高なんだよね。しかも食べられないでしょ! と思ってもぺろっと行けちゃう。不思議なんだよねぇ」。

ステーキを目の前にして、(これを飲んだ後に……? どう考えても無理では……?)と思っていたわたし。それでも、食べ始めると「あれ、いけそう」と思えてくるから不思議。自由にかけられるソースで味を変えながら、あっという間に食べてしまった。

Photo by Hikari

ここ、マイハウスのステーキは400gで1500円と激安。メニューはステーキの他に、タコスや焼きそばなどもあるが、いずれもボリュームがすごい。

朝から動けば、好きなだけ時間がある。
海沿いで考え事をしてもいいし、アクティビティに繰り出してもいい。

朝から動けば必ずこう思うはずだ。
「1日ってこんなに長かったっけ?」

マイハウス

沖縄県宜野湾市大山2-1-27

UWAGA JUNGLEで未開ジャングルに挑む

Photo by Hikari

夜は「UWAGA JUNGLEツアー」へ。こちらも昨年オープンしたばかりのツアーだ。
事前にHPを見ると、なんだか怪しい文字達が……。

「ジャングルで原始体験」
「野生が目覚める、予測不能な夜」
「歩くだけでも精いっぱいの状況」

……? 大丈夫なの、それ?

Photo by Hikari

全員、長靴着用は必須(レンタル可能)。
旧型のジープに乗り込み、夜中の未開のジャングルへガイドさんと一緒に繰り出したのだが……。このツアーが予想外にヤバイ。

道なき道、ぬかるむ足元、生い茂る葉っぱ。そして大量の虫。
「ひぃ……」と思っていると、ガイドさんが「これは珍しい虫ですよ!」と説明してくれる。

あ、ここはジャングルだった。そりゃ、虫もいるはずだよね……。

はじめは「早く帰りたい」と思っていたわたしも、徐々に虫をまじまじ眺められるように。変わった蛇にも遭遇し、徐々にたくましくなっていく心。

Photo by Hikari

なかなかハードルの高い体験だが、お子さんやトレッキングが好きな方にとても人気だそう。
ちょっと変わった体験をしたい方におすすめしよう。ナメてかかると大変な目にあうので、勇気と覚悟の準備だけは忘れずに。

夜中まで遊んだら1日は終了。
東京ではできない体験、いや、東京ではしない体験だらけ。

朝から動くと夜は早々に眠くなる。なまっていた身体に残る嬉しい疲れを感じながら、ぐっすり眠った。

UWAGA JUNGLE (おきなわワールド)

沖縄県南城市玉城字前川1336番地

渡嘉敷島

Day2

2日目は、朝からフェリーに乗る。向かうのは、慶良間諸島の渡嘉敷島(とかしきじま)だ。

Photo by Hikari

フェリーで向かえば、およそ1時間程度で到着する。

透明感抜群の渡嘉志久ビーチ

到着後、目の前に広がっていたのはのどかな風景。那覇とは全く空気が違う。那覇についた時でさえ「のんびりした空気だな」と思ったはずなのに、その倍、いや5倍はのんびりしている。

船着場で聞こえてくるのは、波がちゃぷんと跳ねる音だけ。すれ違う車に遭遇することもなく、早速美しすぎる「渡嘉志久ビーチ」に向かう。

Photo by Hikari

「ケラマブルー」と呼ばれる海は、どこまでいっても驚くほど透きとおっている。その透明度たるや、立ったまま魚を見つけることもできるほど(!)。

浅瀬でシュノーケリングをすれば、ウミガメが見られることもあるそう。これだけ綺麗だったら、きっとたくさんの綺麗な魚も見られるのだろうな。

Photo by Hikari

カヤックやバナナボート、グラスボートなどアクティビティも充実しているけれど、足元の珊瑚を拾う散歩だけでも十分に楽しい。

東京から気軽にいける海は、正直あまり綺麗でないことも多い。
中に入ってザブザブ泳ごう!と思っていても、海を目の前にすると体がやや躊躇することも。でも、ここ渡嘉敷の海は違う。入らないともったいない! そう思わせる透明度がある。

実際、わたしも3年ぶりくらいに海に入った。水面がきらきらと光る海の中で遊んでいると、何かが浄化されていくような気持ちになっていく。

渡嘉志久(とかしく)ビーチ

〒901-3501 沖縄県島尻郡渡嘉敷村渡嘉敷

阿波連ビーチ〜阿波連展望台へ

Photo by Hikari

他にも渡嘉敷島にはビーチがたくさんある。ここは、阿波連ビーチ。
それぞれ表情が違うので、色々な場所を巡ってみるといいかもしれない。

Photo by Hikari

海ではしゃいでいれば、すぐに夕方に。火照る体は、太陽を溜め込んだようでほのかにうれしくなる。

子どもの頃をぼんやり思い出した。「焼ける」とか「明日しんどいから」などの心配を一切せず、ただただ”楽しい”に忠実だったころ。あの頃は、「逃げたい」なんて思ったこともなかったのに。

Photo by Hikari

展望台ではなにを考えるでもなく、寄せては返す波とゆっくり沈む夕日だけを見つめていた。
理屈とか心配事とか、たまには全部無くさなくちゃね。

阿波連ビーチ・展望台

沖縄県島尻郡渡嘉敷村阿波連

渡嘉敷の夜は満天の星空を

Photo by Hikari

日が暮れた後は、星を見に繰り出した。頭上に広がるのは、視界いっぱいの星。
天の川もくっきり見ることができた。

ここまで星が広がっていると見慣れた星座を探すのさえ難しい。

Photo by Hikari

この星空をしっかり目に焼き付けておこう。そうすれば星が見えない日も、この空を思い描くことができる。

そういえば先日仕事で出会った若い女の子が、こう言っていたのを思い出す。

「わたし東京生まれなので、星空ってほとんど見たことがないんです」。

たしかに東京ではあまり星は見えない。それどころか、忙しいと空を見上げることさえ忘れてしまう。でも見えなくても、見上げることを忘れていても、本当はこれだけの星が頭上には広がっているのだ。

見えなくても”在る”と知っているだけで、世界は豊かになる。
ぜひ彼女にも、この星空を見せたいと思った。

渡嘉敷島〜伊江島

Day3

3日目は、朝5時には外に居た。「朝日を見ましょう!」と誘われたからだ。

ヒナクシビーチ (阿波連園地)で朝日を見る

渡嘉敷島の南端にある”ヒナクシビーチ”に向かう。小規模で、昼間でも人が少ない穴場ビーチだ。

Photo by Hikari

もともと朝が苦手。そんなわたしでも、やっぱり思う。

朝日は、いい。

自分が生きている日々の始まりを目撃できる。太陽だって新しく始まるのだから、わたしもまた新しくなれる。そんな風に思えてくるのは、わたしだけだろうか。

阿波連園地

沖縄県島尻郡渡嘉敷村阿波連

伊江島で伊江島タッチューに登る

沖縄7つの島巡り、3つめの島は伊江島(いえじま)。
本部港からフェリーで30分程度。有名なのは、ゴールデンウィーク中に行われる「ゆり祭り」。

Photo by Hikari

島には、渡嘉敷島と同じく静かな空気が広がっている。が、何かが違う。
渡嘉敷は小さな海辺の町という感じだったのに対し、伊江島はのどかな田舎町というか……。離島ごとに雰囲気が随分と違うのも面白い。きっと人によって感じ方も違うのだろう。

早速、「伊江島タッチュー」という名で親しまれている、城山(ぐすくやま)に登ることに。標高は、172メートル。いまだかつてないほどの急勾配の階段を上っていくとたどり着くのが……、

Photo by Hikari

この景色だ。

足場は、とがった岩のみ。360度広がる景色を見ていると、まるで飛んでいるような気持ちになれる。

ここで育つ子は、自分が育つ島を一望できたときどんな気持ちになるのだろう。これが自分の世界だと(目で見て)わかるのは、どんな気分だろう。何かそんなことを考えた。

城山

〒905-0501 沖縄県国頭郡伊江村東江上

伊江島ビーチサイドホースパークで砂浜散歩

Photo by Hikari

その後は「伊江島ビーチサイドホースパーク」へ。
ここでは乗馬体験ができる。今回体験したのは陸を散歩するコースだが、夏場は海に入って泳ぐコースもある。馬が泳ぎ、その尻尾に捕まってふわふわと海を漂うこともできるらしい(すごい)。

Photo by Hikari

わたしが乗った馬は、王子くんという名前。22歳のベテラン紳士。やさしい目で、怖がるわたしをゆっくりと運んでくれた。

レッスンをすればひとりで乗ることもできる。このビーチサイドを風を感じながら走ることができたら、素晴らしいだろうな。

伊江島ビーチサイドホースパーク

伊江村東江前2525

宮古島

Day4

4日目に向かったのは、宮古島。

Photo by Hiroaki Fukuda

東洋一の美しさと呼ばれる海があり、ダイバーにも大人気の島だ。

Photo by Hiroaki Fukuda

本当に、青い。青くて透き通っている。
ダイビングなんてしたことないけれど、いつかやってみたい。あの青い海に潜らなければ、人生においていくらかの損をしているのではないかとさえ思えてくる。

Hotel Locus ルーフトップヨガ/朝食

朝一番で向かったのは、宮古島平良港に面した全室オーシャンビューの「HOTEL LOCUS」。
2018年1月にオープンしたばかりの新しいホテルだ。

Photo by Hiroaki Fukuda

宿泊者は、6:00からの朝ヨガ体験を予約できる。
外でのヨガは初めて。風の音、海の音が気持ちよくて、自然と身体が伸びていく。

Photo by Hiroaki Fukuda

最後に瞑想をして終わり。鳥の声が遠くで聞こえ、木々のざわめきが聞こえるごとに、汗と一緒に悩み事が全部流れていったような気がした。

朝ヨガ体験の後には、ヘルシーな朝ごはん。海ぶどう入りのピタサンドやドラゴンフルーツなど、普段は食べられない食材が並んでいて、色とりどりの食事に心が踊る。

じんわり汗をかいた後のシークワーサージュースは最高。できればこのおしゃれなホテルにゆっくり泊まりたかった……。ヨガをしたあとにシャワーを浴びて、白いシーツにもう一度ダイブしたい……。

Hotel Locus

〒906-0013 沖縄県宮古島平良下里 338-40

パンプキンホール

さて、心も身体もすっかりリラックスできたあとに向かったのは「干潮時にしか行けない鍾乳洞」。

「なぜ干潮時だけなんですか?」と聞くと「洞窟の入り口が沈んでいるので……」と返答があって驚く。どうやら入り口近くまではカヤックで向かい、そこからは少し泳いで入るのだそうだ。どういうこと……? 考えてもわからないので、不安なままインストラクターについていく。

Photo by Hiroaki Fukuda

説明を受け、「保良泉(ぼらがー)鍾乳洞」へと向かう。
10分ほど漕ぐと、すぐに見えてきた。入り口は本当に小さく、そのあたりだけ急に海が深くなっている。海神様にお祈りを捧げて足のつかない深い海に1人ずつ入り、入り口をくぐる。

Photo by Hiroaki Fukuda

広がっていたのは、この景色!

奥に見えるのは、巨大な鍾乳石。これがかぼちゃに似ていることから”パンプキンホール"と呼ばれているんだそう。写真だと小さく見えるけれど、高さは約3mほど。でかい。
そして洞窟内の海は冷たい!

Photo by Hiroaki Fukuda

前も見えないほど真っ暗な鍾乳洞。ライトで照らすと、つららのように連なる鐘乳石がたくさん広がっている。なんと鐘乳石は、1年に約1mm程度しか伸びないらしい。

「なので、この一番上の部分は約7万年前にできた鐘乳石ですね」

途方もない時間が、洞窟の中に流れている。そう自覚するとくらっとした。

鐘乳石にぶつからないようにしながら(折れたら大変!)、大きな岩をのぼったり、パンプキンホールから飛び降りたり(!)。
この旅行の中で一番印象に残った体験だったかもしれない。写真で見るよりも実物が一番。感動するはずなので、ぜひ行ってみてほしい。

パンプキンホールツアー

〒906-0101 沖縄県宮古島市城辺字保良1139-1

キッチンじゃからんだ&島野菜デリじゃからんだ (料理教室)

宮古島には人気のオーガニック食堂もある。島で採れる野菜を中心に作られる料理は、ヘルシーそのもの。オーナーの小原千嘉子さんと収穫から一緒に行う料理ワークショップも人気だ。

「島豆腐の長命草パン粉焼き」「宮古島の野草・蕎麦の実ごはん」「パパイヤとナンコウの野草サラダ」「宮古島産 黒豆のカレーサルサ」「甘酒みそソース」「ドラゴンフルーツとパッションフルーツの米粉マフィン」を作らせてもらった。かなりのメニュー量だけれど、あっという間に出来上がっていく。

それにしても……。
ドラゴンフルーツの蕾や、にんじんもどき。ささげ・うりずんまめ・みやこぜんまい・すべりひゆ……。聞きなれない食材ばかりだが、食べてみるとどれも癖がなくて美味しい!

レシピをもらって帰ったけれど、材料が沖縄にしかないものが多いのが難点。
教室のハードルが高ければランチだけいただくのでもOK。オーガニック料理に興味のある人や、美を磨きたい人はぜひ寄ってみてほしい。

Photo by Hiroaki Fukuda

今回の弾丸旅では、宮古島はこれでおしまい。これだけ綺麗な海がたっぷり広がっているのだから、もっと潜ってみたかった。次は海を楽しみに宮古島に行こう。

宮古島に後ろ髪を引かれながら、翌日に備えて石垣島へ向かう。

じゃからんだ

〒906-0000 沖縄県宮古島市平良下里1517−2

石垣島でSUPPYを体験

石垣島に着いたのは夕方。MASTER-CRUISEさんで、SUPPY(サッピー)を初体験させてもらえることになった。ボードの上に立ち、パドルで進む「SUP(サップ)」は聞いたことがあるが「SUPPY」は初めて。

Photo by Hiroaki Fukuda

SUPPYは、ボードの上に立ってハンドルを握り、”ペダルを漕いで進める”アクティビティ。海外では流行っているけれど、まだ日本で体験できるところは少ない。

SUPよりも簡単で、海に落ちる人はほとんどいないらしい(よかった!)。

Photo by Hiroaki Fukuda

おそるおそるボードに乗ると、すぐに安定した。

数回ペダルを漕ぐと……、うん、いけそう。すぐに水平線に向かって、ひとりで漕ぎ出した。目の前を遮るものは何もない。ボードのすぐ横は、底が見えないほど深い海。油絵のような深い青に一瞬ひるんだけれど、でも再び前を向けば途方もない開放感。ハンドルを握る手の力が抜けたころには、小さく鼻歌を歌っていた。

気づけばみんなの乗っている船は、ずいぶん遠く。
「遠くまできちゃったな……」
海の上にぽつんと浮かんで立っていると、足元から自信のようなものが湧いてきた。1人でも大丈夫という実感というか。

何かアクティビティをやりたいけれど不安……という人におすすめのアクティビティだ。きっと、勇ましい気持ちになれる。

Photo by Hiroaki Fukuda

ここまでの旅で心も体もすっかりほぐれていた。何かに物怖じする気持ちも、慎重な気持ちも飛んでいく。

これまで旅行といえば「のんびり眠るぞ!」「だらだら過ごすぞ!」とだらしないプランばかり立ててきた。もちろんそれも悪くない。でも、こうやって朝から活発に動くと、体がどんどん元気になっていくのがわかる。動けば動くほど、エネルギーは溜まっていく仕組みらしい。たまにはこういう旅もいいな。

SUPPY体験

沖縄県石垣市新栄町10-15-1F Master Cruise

石垣島〜小浜島〜加屋真島

Day5

石垣で迎えた朝。

朝ごはんに選んだのは「知念商店」。
1日平均1000個も売れるというB級グルメ「オニササ」が食べられるらしいが……オニササ…って何?

「オニササってなんですか?」
「おにぎりと、ささみカツのことです」

……。聞いてもなお、ピンとこない。

お店に入ると、たっぷりのフライが並んでいた。
常時30種類近く揃えてあるのだという。

「まず、ビニール袋をとって」
「? はい……」
「それで好きなおにぎりをとって」
「? はい」

「そのまま、好きなフライをとって」
「え、こうですか?」
「そう」

「これで完成。それであとはおにぎりとフライをなじませて、ソースをつけて食べてね」
「!?」
「ほら、手が汚れないで食べられるでしょ?」

……。たしかに……。
しかもこれが……美味しい!!

地元の高校生がフライとおにぎりをくっつけて始まったというこのメニュー。はじめは少しひるんでしまうが、おにぎりとフライを馴染ませれば馴染ませるほど、ウマイ。

それにしても、おにぎり60円、ハムカツ120円、締めて180円……安すぎる。

知念商会

〒907-0004 沖縄県石垣市登野城1249−18

のどかな小浜島へ移動

Photo by Hiroaki Fukuda

6つめの島、小浜島へと向かう。小浜島は、八重山諸島のほぼ中央に位置している島。サトウキビ畑が広がる島の周囲は、約16キロ。人口は約600人とこれまでの島で一番小さい。

大岳

船着場の目の前にカフェがあり、観光客が見てとれた。これまでの離島と同じく地元の人はどこにもいない(どこにいるの……)。

さっそく「大岳」へと向かう。

Photo by Hiroaki Fukuda

てっぺんに向かうために、再び急な階段を登る。伊江島のほうが急勾配だったから、このくらいはなんともなくなってくる。

Photo by Hiroaki Fukuda

てっぺんに広がっていたのは、平和的な景色。海にはいくつかの島が見えた。
伊江島とは違い、てっぺんには簡単な休憩スペースもあり、ほのかに涼しい。

Photo by Hiroaki Fukuda

上には先客がいた。10代の女の子が3人。動画を見ながら、きゃっきゃと明るいおしゃべりを楽しんでいる。地元の人……かな?

「地元の人?」
「はい。小浜島が実家です」
「ここに住んでるの?」
「高校がないので……、今は石垣の学生寮に住んでます。夏休みなので実家に帰ってきて、石垣から友達も来てくれました」

そうか、これほどに小さい島だと高校はないのか。

「東京にきたことはある?」
「はい、お母さんが東京出身なんです」

聞くところによると、このあたりは移住者が多いのだという。何に魅せられて小浜島に移り住んだのだろう。根掘り葉掘り聞いてみたい気もするが、聞くのも野暮な気がする。きっとこののんびりとした景色と、穏やかな空気に心惹かれたのではないだろうか。

大岳展望台

〒907-1221 沖縄県八重山郡竹富町小浜

Photo by Hiroaki Fukuda

小浜島の海は淡いブルーだった。
お店もポツポツとあるものの、島を歩く島民はほとんどいない。
島の人にもうすこし会ってみたかった。できれば「どうして小浜島に住むことにしたのか」を聞いてみたかった。

でも心残りがあるのはいい。また来るきっかけになるから。

Photo by Hiroaki Fukuda

強い風が吹く。こういうところに住んでいれば「風になりたい」という曲もたしかに作れてしまえそう。

短い滞在時間だった。
小浜島からフェリーにのって、今度は加屋真(カヤマ)島という無人島へ行くことに。

細崎(くばざき)の浜

〒907-1221 沖縄県八重山郡竹富町小浜

うさぎしかいない無人島、加屋真島へ

加屋真島と書いて、「かやまじま」と読むらしい。小浜島からなら船で15分程度で行くことができる(小浜島と石垣島からツアー船が出ている。)

Photo by Hiroaki Fukuda

「村長です!」

そう言って出迎えてくれたのは……、とっても若い、かわいい女の人。

「えっと……、無人島ですが……、ここを治めているってことですか……?」

真面目に質問をしてみるが、「ここを管理しているだけなんですけど、村長っていう名前にしたら格好いいかなと思って」と笑われた。この方も関西から移住してきたらしい。美しいくらいにこんがり焼けていて、朗らかに笑う。ここに住めば、こんなに伸びやかになれるのか。

Photo by Hiroaki Fukuda

周囲2.5kmしかない小さな島。住んでいるのは……ウサギだ。なんと、数百羽もの野生のウサギが住み着いているらしい。といってもほとんど姿を見ることはできない。戦時中に食料として扱われていた野生のうさぎたちは、警戒心が強く、人間の前には姿を表さない。

飼われている数匹だけは見ることができた。あとはうさぎの潜む息遣いだけを感じながら、島内を散歩する。

Photo by Hiroaki Fukuda

ここでは事前に申請すればキャンプをすることもできるらしい。無人島でのキャンプ……、きっと夜は星が零れ落ちそうなほど広がっているのだろうな。いつか行ってみたいような気もする。いや、やっぱりちょっと怖いかも。

加屋真島ツアー (三和トラベル)

〒907-0012 沖縄県石垣市美崎町4-9

明日はもう東京へ戻る日。空港のある石垣島に戻って宿泊をすることに。
と、その前に……。
夜はまだ長いのだ。最後のアクティビティに繰り出そう。

Photo by Hiroaki Fukuda

ナイトカヤックに乗り込んだのは、「夜光虫(やこうちゅう)」を見るため。
夜光虫とは、刺激を受けて青い光を発する海洋性プランクトンのことだ。

パドルを水面に打ち付けると……本当に光った! 海の中でほんの一瞬、青く光る!
すごい! 不思議! でも……、写真には撮れないほどの、ほ〜〜〜〜んの一瞬……。

なんとか写真に収められないか……。
空を見上げて星空を楽しみながら、奥へ奥へ奥へ奥へと進んでみた。
(この決断がのちにわたしたちを苦しめることに……)

Photo by Hiroaki Fukuda

けれどやっぱり、写真は断念。蚊が異常に多いスポットで(笑)、記念撮影だけをして帰ることに。

が、このあと後方の木々が突如音を立てはじめたのだ。

「ざざざざざ」

木々を震わす音の大きさがあまりに大きくて、思わず野獣でも出たのかと思い「なに!?」と慌てていると……。

雨だ。雨だった。あの音は、豪雨の鳴き声だったのだ。

夜光虫を撮りに遠くまできてしまったせいで、簡単には帰れない。当然雨宿りもできない。どこにも逃げられない。目も開けられないほどの豪雨の中、行きとは比べものにならないくらいの必死さでカヤックを漕いだ。大きな声で叫びながらもはや大笑いして、時に寒さに震えて。これほどまでに成すすべなく雨に打たれたのは初めてだ。

帰ってきたときにはみんな、海に落ちたかのようにずぶ濡れだった。
ただただずぶ濡れになったナイトカヤック。必死で撮りに行ったけれど撮れなかった夜光虫。
このままだと浮かばれないので、みなさんの目でぜひ見てきてください。

ナイトカヤックツアー

沖縄県石垣市名蔵1356-91

石垣島で最後の朝ごはん

Day6

あっという間に帰る日になってしまった。Day0含めて、7日間の旅。

慌ただしく移動をしていたので、どの島にも少しだけ心残りがある。また行くとしたら、どの島から行こう。

じつはこのころにはもう都会が恋しくなっていた。またあの人混みでデパートをハシゴしながら買い物をしたい。飲んで酔っ払って、満員電車に悪態をつきながら家に帰りたい。そしてまた、仕事を頑張りたい。海も大好きだけれど、もうエネルギーは十分充電できた。帰らなければ。

旬家 ばんちゃん

最後に行ったのは、朝ごはんで有名な「旬家 ばんちゃん」。テレビや雑誌などで度々紹介されているお店だ。入り口はわかりにくいところにあるので、あらかじめしっかり調べておくほうがいいかも。

Photo by Hiroaki Fukuda

こちらが大人気のふわふわ卵焼きの朝ごはん!

ふわふわすぎる出し巻き卵が、でかい!!!
なんと卵2個半から3個を贅沢に使っているそう。箸で切ると、しゅわしゅわと卵が縮む音がする。すごい!すごい美味しい!

このだし巻き卵は朝ごはん限定。超人気店のため、前々から予約はいっぱいになってしまう。旅程を決めたらすぐにご連絡を。

Photo by Hiroaki Fukuda

体にいいものをたくさん食べて、緑を見て。車に乗り込めば10分程度で石垣空港へ到着だ。

東京に戻ってもまだ昼過ぎだろう。すっかり元気になった体で、仕事に戻ろう。苦もなく、無理もなく自然にそんな風に思えていた。

旬家ばんちゃん

沖縄県石垣市白保13-1

最後に

Photo by Hikari

飛行機に乗って、窓から海を見ていた。
石垣島がどんどん小さくなって島は米粒ほどの大きさになる。そうしてやっと気づいた。

「逃げたい」。そう思っていた。
でも、これは”逃げ”なんかじゃない。

この時間は、また戦うために必要な時間なのだ。また日々を頑張り抜くための時間だったんだ。

だったら、あの思いが来るたびに忠実になればいい。すぐにどこかへ飛んで、充電を貯め、また戻って来ればいい。

窓から見える景色が雲でいっぱいになったころ、目をつぶってもう一度この7日間で見てきたものを思い浮かべた。きっとまた必要になった頃、心の中でこの景色たちがざわめき出すだろう。そうなったら、また行こう。疲れた心に必要なものが全部ある、沖縄に。

夏生さえり

山口県生まれ。フリーライター。大学卒業後、出版社に入社。その後はWeb編集者として勤務し、2016年4月に独立。Twitterの恋愛妄想ツイートが話題となり、フォロワー数は合計18万人を突破。難しいことをやわらかくすること、人の心の動きを描きだすこと、何気ない日常にストーリーを生み出すことが得意。著書に『今日は、自分を甘やかす』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『口説き文句は決めている』(クラーケン)、『やわらかい明日をつくるノート』(大和書房)、共著に『今年の春は、とびきり素敵な春にするってさっき決めた』(PHP研究所)がある。

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